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バカ穴になったM4ネジ穴の修理

本日は、バカ穴になったM4ネジのネジ穴の修理作業を紹介させて頂きます。

 

錠ケースのフロントと呼ばれる部分をドアに取り付ける際には、多くの場合M4と呼ばれるサイズのネジが使われています。

鍵交換などでお客様のもとへお伺いすると、この部分のネジ穴が潰れている状態(通称バカ穴状態)になっている事が多いです。

黄色い丸の部分のネジがフロントを留めているネジ。この部分がバカ穴になっている事が多い。
黄色い丸の部分のネジがフロントを留めているネジ。この部分がバカ穴になっている事が多い。

原因としては、

・斜めにネジを打ち込んでしまった。

・不必要に強い力でネジを締めこみすぎてしまった。

・そもそも一番最初に取り付けた時点(家を建てた時点など)で、ネジ穴がちゃんと作られておらず、そこにネジを入れてしまった。

など、工事に起因するものが多いです。

 

この部分のネジがぐらぐらになっていたり、またはなくなっていたりしても、直ちに不具合が起こることは少ないため、お客様の方では気付かない事がほとんどです。(錠前の種類によっては、不具合が起こりますが・・・)

 

そんな部分のネジではありますが、私たちカギの救助隊福岡では、鍵交換の際にネジ穴がバカ穴になってる時は必ず修繕をしています。

お客様の目に付くところではないのですが、末永く快適に使用していただくため、小さな部分にもこだわっています。

バカ穴になったM4をM5へ

バカ穴を修繕するには、様々な方法があり、穴の開き方やドアの材質などで、それぞれ最適な工法が違います。

・ターンナットを使う方法

・ワンサイズ大きいネジ穴に変更する方法

・挟み込みナットを使用する方法

・ネジ穴をいったん埋めたあと、再度新たに作成する方法

などなど・・・

 

そんな中で、今回はワンサイズ大きいネジ穴に替える方法の紹介をさせて頂きます。

M4とM5ネジの説明

左がM4ネジ、右がワンサイズ大きいM5ネジ
左がM4ネジ、右がワンサイズ大きいM5ネジ

バカ穴になったM4のネジ穴よりも、M5のネジ穴の方が大きいので、代用することが出来るのです。

ただし、通常はM4よりもM5の方が、ネジの径だけでなく、頭の部分も大きくなってしまうため、使えません。

(頭が大きい分、収まりきらず頭が飛び出してしまうため、ドアと枠の隙間が少ない場合は、ドアが引っ掛かって閉めれなくなる)

 

そのため、ネジ径がM5でありながら、頭の大きさがM4と同じものを使用します。

M4ネジとM5ネジの二種類
左がM4・右がM5・真ん中がM4と頭が同じ大きさのM5ネジ

ご自身でチェレンジしてみたいと言う方、サッシビスと言う名称のM5ネジがホームセンターなどでも売られていますので、ご購入ください。

M5ネジへ変更する工事

さてここからは、バカ穴になったM4ネジ穴をM5ネジ用のネジ穴に変更していく工事について軽く紹介いたします。

 

工事は工具があればいたって簡単。

バカ穴になったM4ネジ穴へM5用のネジ穴を作るタップと言われる工具を差し込み、ネジ穴を作成していくだけです。

M5用タップ
M5用のタップを使い、ネジ穴を作っているところ。

タップを入れる際、もともとのM4のネジ穴がどれくらい広がってしまっているかによりますが、そこまで広がっていない場合は、タップを入れる前にドリルなどで下穴を作ってやった方が無難です。

 

下穴はタップのメーカーにより指定されている穴の大きさは若干異なりますが、概ね4.5ミリで作れば良いでしょう。

特に慣れてないうちは、面倒でも下穴を作った方が無難です。

なぜなら、このタップで作業をしている時、穴の中にタップが折れ込んだら最悪なことになるからです。

 

折れ込んだタップは必ず取り除かねばならないのですが、だいたい穴の中でがっちりと噛みこんでしまっているので、ほぼ取り出すのは不可能です。

かと言って、折れ込んだタップをドリルで破壊することも出来ません。

なぜなら、ドリルの刃よりタップの方が硬いからです。

こうなったらお手上げです。

 

そのため、ご自身でされる方は、面倒でもドリルで下穴を作ってください。

タップでM5用のネジ穴を作ったところ
タップでM5用のネジ穴を作り終えたところ
作業完了後
タップを作り、頭の小さいM5ネジを入れフロントを留めたところ

こうしてM4からM5へ変更する工事は完了です。

コツがつかめれば難しい工事ではないので、DIYでもできるかと思います。

この工事を行った場所

ところで、この工事を行った場所は、いつもカギの救助隊福岡をご利用下さる顧客の電機メーカー様の、福岡県内にある工場内でした。

この工場内のドアノブの鍵の交換にお伺いした際、フロントのネジがバカ穴になっていることに気付き、鍵交換と一緒にサービスにてネジ穴の修正を致しました。

 

ところで、ここについている錠前は、一見通常のドアノブの真ん中に鍵穴がついているタイプの物のようなのですが、実は裏表鍵穴の4形と呼ばれる形式の特殊なものです。

4形の両面鍵のドアノブ
表も裏もどちらも鍵穴の美和ロックのHM4形ノブ

カギの救助隊福岡は創業して10年になりますが、まだ2個しか出たことがありません。

特殊なので、問屋にも在庫をしていないことが多いのですが、当店では在庫をしています。

 

滅多に出ない部品を在庫するリスクはあるのですが、顧客の会社でこれが使われている限り、いつでも顧客のお役に立てるよう、在庫をしています。

とくにここは工場なので、どのドアも一日の使用頻度が高いため、この工場で使われている部品は、何があってもすぐに対応できるよう、ほかのドアの部品も含め、在庫をしています。

 

カギの救助隊福岡には現在60社を超える数の顧客がおられるのですが、それぞれの会社でどんな鍵やドアノブが使われているか把握しており、顧客の皆様用の部品をそれぞれ在庫をしています。

顧客の皆様のお役にいつでも立てるよう、準備をすることにこだわっております。

最後にタップを選ぶ際のワンポイントアドバイス

それでは最後に、タップを選ぶ際のワンポイントアドバイス。

特にM4やM5など、小さいネジ穴を作る際のタップを選ぶときは、(先仕上げ・中仕上げ・上仕上げ用)の三本セットのものを購入する事がが良いでしょう。

 

一本で仕上げるタイプの場合、一本だけ工具を入れれば済むので楽なのですが、それだとタップを作ったつもりでも、きれいに穴が出来ておらず、新しいネジを入れるとまたそれがバカ穴になったり、ネジが食い込んでダメになったりする事があるからです。

 

そのため、三本のタップを使うのが面倒でも、先・中・上と三段階に分けて仕上げをしましょう。

また、タップを使う際はタップが引っかからないよう、ちょくちょく注油しながら行うと良いでしょう。

 

タップが固くてなかなか進まないときは、一気に進めようとせず、いったん戻して、金属の削りかすを除去して再度タップを入れ進めていくと言うことを繰り返した方が、穴の中でタップを折れ込ませてしまうリスクを低減することが出来ます。

 

長々となりましたが、今回はこの辺りで。

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