この話は、福岡県内の某所に住む友人に、実際に起こった話です。
ある昼下がり、友人(30代の主婦)が家事をしていると、ピンポンとドアチャイムがなりました。
どなたですかと尋ねると、福岡県警察ですとの答えが。
ドアを開けると、警察官が、一人の男を連れて来ていたそうです。
警察官が言うには
「この男は、とある家に空き巣目的で侵入したため検挙した者です。
余罪について調べていると、この男が、以前あなたの家にも空き巣に入り、金品を盗んだと供述したため、事実確認のため連れてきました」
との事でした。
友人はその時初めて我が家に泥棒が入っていた事を知ったらしく、びっくり仰天したそうです。
友人「えっ、全く気付きませんでした・・・
ところで、私の家からは、幾らくらい盗まれたのでしょうか・・・」
警察官「それが、あなたのお宅では380円程盗んだと言っています。」
友人「はぁ・・・
380円ですか・・・」
警察官「ええ、供述によると、この男は仕事がなくなってしまったのですが、そのことを家族に言えず、朝家を出て公園に行き、そこでしばらくぼーっとした後、鍵を掛けていない家を探し、空き巣に入る、と言うことを繰り返していたようです。
ただ、盗ったのはいずれの家でも小銭ばかりで、被害額は数百円から、多いところでも千円程のようです
そのため、ほとんどの家では、あなたのように空き巣に入られた事に気づいていないようです」
ひとしきり犯行の状況についての説明があった後、警察官から
「この男を訴えますか?どうしましょうか?」
と、聞かれたそうです。
友人は、そのおじさんが、あまりにもみすぼらしくてかわいそうだったし、380円と言う被害金額を考えると、調書や手続きなどが面倒だったので、
「いいえ、この人のことは許します」
と言ったそうです。
「まぁ実際に、泥棒に入られた事すら気付かなかったんだもんね」
と友人は言いました。
その話を友人から聞いて、
「あぁ、それは大変だったね。
被害額が少なかった事もさることながら、泥棒と鉢合わせしなくて良かったね。
ってか、鍵掛けてなかったんかい!?」
と、思わず突っ込んでしまいました。
友人によると、鍵を掛けるのが面倒だからこれまで掛けたことなんてほとんどなかったけれど、これからは、ちゃんと施錠しますとの事でした。
実は私の知人の中に、同じように、警察官が来て、初めて泥棒に入られた事に気付いたと言ってる人が、他にもいます。
その家はご夫婦と二人の息子さんの家族4人暮らしで、お子様が鍵をかけ忘れて出て行く事がたびたびあったそうです。
「その時に空き巣に入られたのだろう」
とその人は言いました。
さらに、その家の奥様が
「何も盗まれてはいないらしいけれど、知らない人が入ったのだから、気持ち悪い。
とにかく、今すぐにでもこの家を引っ越したい」
と言っているとの事でした。
この家の場合、被害の金額よりも、引越しに掛かる費用の損害の方が、はるかに大きいようです。
防犯性能の高い鍵に交換し、セキュリティレベルを上げてやる事が好ましいですが、そこまでしなないにしても、最低限の事として、家の鍵くらいは施錠する習慣をつけてもらいたいものです。
(お二方とも、無施錠だったがために。空き巣に入られたようですし)
これからお話するのは、上記の方々のように、無施錠で空き巣に入られた訳ではありませんが、引越しをしなくても、盗まれた金品以上の被害が出ることがあると言う話をします。
どんな時に、盗まれた金品以上の被害が出るかと言うと、それは鑑識による現場検証での指紋採取をされた時です。
仕事柄、泥棒に入られたお客様のもとへ鍵交換へ行く事があるのですが、皆様口々におっしゃられるのは、指紋採取の時の銀の粉が拭いても拭いても落ないと言うことです。
良くテレビのドラマなどで見かける鑑識がポンポンとしているあれです。
金属製品やプラスチック製の家具はまだ落ちるのでしょうが、木製の家具、特に桐ダンスなどは落ないようです。
その家で代々受け継がれてきて、大切にしてきた桐ダンスがダメになり、そっちの方が空き巣による被害額よりも、金額も精神的苦痛も大きいとおっしゃられるお客様もおられました。
銀の粉がなかなか落ないことを知っている方で、鑑識が来るのを断ると言う選択をされていたお客様もおられました。
その方は
「家財が汚れるのが嫌だからあえて鑑識に来てもらわなかった
だって、犯人が捕まってもどうせお金は返ってこないでしょ」
とおっしゃられていました。
空き巣に入られると、直接の被害以外にも様々な被害が出ると言うお話でした。
あなたのお宅では、ちゃんと鍵を掛けていますか??