左右勝手間違いの把手の補修

先日、把手(とって=取っ手と書くこともある)がぐらぐらするので修繕してほしいと言うご依頼を頂き行って来ました。

 

現場に行き把手を見て、何か不自然だなーと感じました。

下の写真は、室外側から把手を撮影したものですが、何が不自然か分かりますでしょうか。

室外側から把手を撮影したところ
室外側から把手を撮影。不自然な点にお気付きだろうか。

何が不自然か、先に答えを申しますと、室外側なのに、ネジがある事です。

 

通常は、室内側からネジを締めるので、室外側にはネジは露出しません。

なぜなら、外側がネジだと、外にいる第三者から、いたずらでネジを外されてしまうからです。

 

ネジを外されるだけならまだしも、悪意がある人間がいたら、把手を外してしまうかもしれません。

そうなると、中にいる人が外に出れないと言う事態も想定されます。

 

そこで、留めるネジは内側にあるのが普通なのです。

ごまかしでネジの頭を潰している

ここでもう一度、先ほどの室外側からの写真を見てみましょう。

 

ネジを第三者に外されることを警戒してか、ネジの頭が潰されています。

室外側から把手を撮影したところ
よく見るとネジの頭が潰されている

このネジはプラスドライバーで外せるようになった、頭に十字の溝が彫ってある普通のネジなのですが、プラスドライバーで外されないように、ドリルで溝をほいでしまっています。

 

実は、私は最初、この工事の意味が分かりませんでした。

 

ネジがいたずらで外されないように、ネジの頭を潰したんだろうなと言う事は想像がついたのですが、なぜそういう工事に至ったのかが分かりませんでした。

 

これまでいくつも把手を取り付ける作業をしてきたけど、これまではこんな風に、頭を潰すことを考えなくてはならない現場に遭遇したことないが、なぜここではこのような作業が必要だったんだろうと、しばらく考えました。

 

そう言えばそもそもなぜこれは外側にネジが付いているんだろうと思った時に、ようやく答えがわかりました。

左右勝手を間違っている

通常室内側にあるはずのネジが外側についていると言う事は、裏表が逆だと気付きました。

そこで、裏表を入れ替えて取り付けしようと思ったのですが、穴の位置が合いません。

 

どうやら、そもそも左右の勝手が違うようです。

 

把手には、右勝手も左勝手もない、どちらでも使えるものと、右勝手・左勝手専用の物があります。

そしてこれは、その勝手の方向の指定があるタイプのようです。

 

なんと驚くべきことに、最初にこの把手を取り付けた業者が、右勝手と左勝手とを間違えた部品を取り付けたようです。

 

通常このタイプは、真ん中と下側にネジがあるのですが、この把手は真ん中と上側にネジがあります。

室外側から把手を撮影したところ
本来なら真ん中と下にネジがあるはずなのに、これは上と真ん中にネジがある

このネジの位置、そして室外側ネジ穴がある事から考えると、

「右勝手と左勝手間違えて仕入れてしまったけど、返品も出来ないし、このまま取り付けてしまえ」

と言う事になったのかもしれません。

 

あくまで想像ですが・・・

 

左右の勝手が間違っていることに、すぐに気づいていたなら、お客様も施工した業者に確認することが出来たのでしょうが、部品の製造年を考えると、施工したのは少なくとも十数年以上前だと思うので、今更確認は出来ません。

 

もっとも、左右の勝手を間違えたのではなく、

(施工のコストを抑えるため、中古のドアを購入することにしたが、左右の勝手が違うものしかなかった。

安かったので、逆になるのを分かっているが、敢えて購入して逆に付けた)

と言う可能性がないわけではないのですが。

修繕作業

なんだかんだとありましたが、把手がグラグラしているのを修繕してほしいとのご依頼でしたので、一度分解することにしました。

 

しかし、先程書いた通り、ネジのプラスドライバーで外す十字の溝が潰されているので、ドリルでネジを壊して除去し、分解いたしました。

 

分解して修繕後、元に戻すのですが、理由はどうであれ、左右の勝手が間違っているため、室外側にネジが来てしまいます。

修繕後の把手の室外側からの写真
修繕後の把手。ネジはプラスドライバーのネジ

このままネジが露出していると、いたずらでネジを外される可能性があります。

最初の状態と同じように、ネジの頭をドリルでほがして、プラスドライバーで容易に外せないようにすることも可能ですが、把手の使用年数を考えると、先々メンテナンスで再び外さねばならない時が来るかもしれません。

 

その時の事を考えると、ネジの頭は潰さずにいたい。

また、最初の状態のように、中途半端に潰していると、却って不自然感があって、いたずらをするような人間の目にはとまりやすくなる恐れがあります。

 

そこで、苦肉の策ではありますが、シートを作ってネジ穴を隠すことにしました。

ネジ穴をシートで隠した後の把手
シートを作成し、ネジ穴を隠しました

もちろん、本来ならば、勝手の正しい方向の物を仕入れてきて、取り替えるのが良いと思います。

ただ、そうなると、部品代もそうですが、ドアに加工しなおすので、加工の費用もかかります。

 

またこれが一番の理由なのですが、この把手は、もうすでに廃番となっており、勝手の向きの正しいものはおろか、全く同じものですら注文が出来なくなっていました。

サイズが特殊なので、代替品もないため、他の部品で代用するのであれば、ドアへの大掛かりな加工が必要となり、費用もかなりかかります。

 

そう言ったさまざまな状況を考慮したうえで、お客様とも相談した結果、今回はシートで隠すという事になりました。

状況によりさまざまな方法を提案させて頂きます。

このように、左右の勝手が間違っていると言う事は珍しいかもしれません。

 

ただ、壊れてしまったが今と同じ部品は廃番になっていて、もう手に入れることが出来ないと言う状況は結構あります。

 

そんな時は、費用が一番かからないように、修繕で何とか復旧するのか、修繕ではなく新品に交換したいが、費用を抑えるために最低限の加工費で済むものを探して取り付けるのか、費用はかかるが、例え今と全然違うタイプのものとなっても、お客様の好みの部品を見つけてきて、大掛かりな加工をして取り付けするのか、あるいはドアそのものを新しくしてしまうのか・・・

 

お客様のニーズに合わせて、様々なものを提案させて頂きます。

 

他社が出来ないと断った工事を多数施工してきた経験がありますので、本当に色々な方法をご提案できると思います。

鍵と錠の取り付け・修繕など、お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

それでは今回の施工例はこの辺りで。

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