駐輪場入口の門扉にドアクローザー新規取付

福岡市内のマンションにて、駐輪場の門扉にドアクローザーが付いていないので、取り付けてほしいとのご依頼を頂きました。

 

門扉は自動施錠となっていて、ドアを閉めると必ず鍵がかかるようにはなっているのですが、ドアクローザーが付いてないため、現状は住人の方が、一回一回門を閉めなければならないと言う状態のようです。

つまり、門を閉め忘れると鍵が開いたままの状態となり、部外者が誰でも侵入できる状態のため、防犯上は大変よろしくないため、自動で扉が閉まるようにする必要があるようです。

 

元々からドアクローザーを付ける事を想定されずに作られた門扉は、ドアクローザーを付けることは不可な場合が多いですが、何とかして欲しいとのことで、現場を見に行って来ました。

ドアクローザーを取り付ける門扉その1
今回ドアクローザーを取り付ける門扉

ドアクローザー取り付けが非常に困難

現地に来て実際に門扉を見たところ、元々がドアクローザーを付けることを想定されていない門扉だったため、これは取り付けが出来るような門扉ではないと思いました。

それでも何とかして欲しいととおっしゃられ、そんな無茶苦茶なと正直思いました。

 

聞くところによると、この駐輪場入口の門扉は新設したそうですが、デザイン最優先でこの門扉を選んだと言う事のようでした。

ドアクローザーを取り付ける門扉その2
門扉の室外側から
ドアクローザーを取り付ける門扉その3
こちらは室内側からの写真

この門扉を見て、どこにドアクローザーを付ける場所があるんですかと思いました。

 

百歩譲って何とかドアクローザーの本体を無理矢理取り付けたとして、上のアームを固定する場所がありません。

ドアのドアクローザーの参考写真
参考までに、こちらはドアにドアクローザーが付いている写真

上は、ドアにドアクローザーが付いているところですが、このような形状でないとドアクローザーは取り付け出来ません。

一方、今回取り付けてほしいと言われている門扉には、門扉そのものにも、枠の方にも必要なところに横方向の板や角棒などがなく、縦方向に角棒が走っているだけです。

ドアクローザーを取り付ける門扉その4
必要なところに横方向の棒がない

これは普通に考えて、ドアクローザーの取り付けは出来ない門扉です。

後述しますが、丁番の方に、自動で閉まる機能を有したものがあるので、それが使えれば、ドアクローザーが付けれなくてもそれで対応すれば良かったのですが、この門扉にはそれも使えません。

これはかなり困難です。

この門扉を提案した業者に疑問が

少し語弊はありますが、お客様がデザインでこの門扉を選んだのは仕方がないと思います。

なぜならば、お客様は、ドアや門扉、それにドアクローザーなどについて専門的な知識を豊富に持っておられないと言う事は普通の事と言うよりも、当たり前の事だからです。

だから、この門扉を提案した業者に疑問を感じます。

 

駐輪場の門扉であれば、鍵を自動施錠にしない、もしくは鍵がかからないものにすることはあるにせよ、門扉は通常ならば、自然に閉まることが必要だと思います。

まして、今回は自動施錠の錠前を入れてるくらいなのだから、当然ドアクローザー、もしくはその機能を有したオートヒンジなどの丁番が最初から付いている、もしくは追加で取り付けが出来るように作られている門扉を選ぶ必要があります。

 

業者ならば、お客様の事を考えて、その様な門扉を提案する必要があったのではないかと思います。

 

もしくは、先々ドアクローザーは付けれませんが、それでも良ければこんな門扉もありますと言う風に説明した上で、自然に閉まる門扉と閉まらない門扉を選んでいただく必要があったのではないでしょうか。

そのマンションに入居する方の層も考慮に

百歩譲って、このマンションがファミリー層の多い、分譲マンションであれば、自動で閉まる門扉でなくても、まだ良かったのかもしれません。

しかしここは、単身者世帯向けの賃貸のワンルームマンションです。

 

ファミリー層の多い分譲のマンションだと、門は必ず閉めましょうと書いておけば、ほとんど全員の方がきちんと閉めてくれると思います。あるいはわざわざ必ず閉めましょうと書かなくても閉めてくれる可能性が非常に高いです。

しかし、賃貸のワンルームマンションで、入居世帯数が多いとなると、開けっ放しにしてしまう方が一定数出て来ると思います。

 

そういった事を考慮すると、最初からドアクローザーが付いている、もしくは後付けで付けることを想定して作られた門扉を選ぶ必要があり、それを提案しなかった業者に非常に疑問を持ってしまいます。

 

少なくとも業者が最初からちゃんと提案なり説明なりをしていれば、お客様がドアクローザーをつけてくれる業者を何とか探さないとと、てんやわんやする事はなかったでしょう。

門扉へのドアクローザーを取り付け工事

前置きが長くなりましたが、紆余曲折ありつつも、最終的には何とかドアクローザーを取り付け致しました。

 

最初は門扉の設置工事をした業者に依頼することをお勧めしたのですが、設置業者には、自分で門扉を設置しているにも関わらず、ドアクローザーは取り付けが出来ないと断られたようです。

さらにほかの業者もやはり取り付けが出来ないようで断られてしまったとの事でした。

 

しかし、防犯上どうしてもドアクローザーの設置が必要なので、何とかなりませんかとの事でしたので、施工方法についてずいぶんと悩みましたが、何とか無事に取り付け致しました。

門扉にドアクローザー設置後その1
施工方法をずいぶん悩みましたが取り付け出来ました

カギの救助隊福岡に入って来るご依頼は、特殊な取り付け工事が多く、取り付け前に悩むこともしばしばあります。

このドアクローザーの取り付けに関しても、取り付け方法について3日ほど悩みました。

穴を開けた後でやっぱり取り付け出来ませんでしたでは済みませんから、確実に取り付けが大丈夫か、取り付けた後ちゃんと動作するのかを、何度も何度も頭の中でシミュレーションをします。

 

こう言った工事は好きなので有難いことではありますが、毎回プレッシャーが半端ないです。

工事前夜には、考え過ぎて眠れないこともしばしばあります。

ドアクローザーの施工工事

それではここから、ようやくではありますが、ドアクローザー設置の施工工事の紹介を致します。

 

先ほどまでずいぶんと門扉と枠に、横方向の板や角棒などがないので、ドアクローザーを取り付ける場所がないと書きましたが、もっと大変な問題が丁番にありました。

ドアクローザーを設置する門扉の丁番
この門扉についている丁番

この丁番の形と、それによるドアの動き方が問題なのです。

 

このページの最初の方で、ドアクローザーが設置できなくても、ドアが自然に閉まるオートヒンジと言う丁番が使えたら良かったのですが、それも使えませんでしたと書きましたが、この丁番の形状のおかげで、オートヒンジが使えなかったのです。

 

下に、参考として一般的な丁番の写真を載せておきます。

ゴミ置き場のドア取り付け後その1
一般的に使われている丁番

上のような一般的な丁番なら、オートヒンジが使えたので、話は早かったのですが・・・

 

丁番の種類が違うので、オートヒンジが使えなかったと言う問題だけではありません。

 

一番の問題は、この門扉の丁番と、一般的な丁番を使っている門扉やドアでは、門扉の動き方が異なります。

そしてそれは、ドアクローザーが想定していない動き方をしてしまうと言う事なのです。

 

文章では伝えられないので現地で計算する際にメモ書きをしたので、その写真を載せます。

一般的な丁番とこの門扉の丁番の動きの違い
一般的な丁番とこの門扉の丁番の動きの違い

丸が丁番の支点です。

緑の線は一般的な丁番のドア(この場合は門扉)の動き方、黒のボールペンで書いた線はこの門扉の動き方です。

縦に線を引いていますが、黒の線と緑の線では、丁番の中心からこの線までの距離が変わります。

 

ドアクローザーは、緑の線でドアが動くことを想定して作られていますから、この門扉に、説明書通りに丁番の中心から距離を測って指定通りの場所にドアクローザーを付けてしまった場合、実際の門の動きと乖離が生じてしまいます。

 

そうなると、説明書通りに取り付けてしまうと、ものすごい負荷がドアクローザー本体と取り付け部分にかかってしまい、長持ちしないどころか、最悪すぐに壊れてしまいます。

 

そこで、乖離が生じないように、説明書に記載された位置から、何センチ何ミリどちら方向にずらせて取り付けるのが良いのか計算をせねばなりませんでした。

 

ただし、この門扉には、縦方向の角棒しか走っていないため、計算された位置に取り付けできるとは限りません。

そうなると、計算した位置から、実際の取り付け可能位置まで何ミリずれが出るから、アームの位置をどうしようかなど、何度も何度も計算し、その位置で取り付けた場合、うまく負荷がかからす動くのかどうかを、頭の中でシミュレーションしなければねばなりません。

 

実際にこの部分でもの凄い時間を現地で使いました。

ようやく取り付け作業へ

ここまで来て、ようやく取り付けの作業へ取り掛かることが出来ます。

ですから、実際に作業を始めて取り付けが終わるまでは1~2時間なのですが、どうやって取り付けるか考えるのに3日、現地で計算をして取付位置を決めるまでに2時間と、前段階で膨大な時間を使っていることになります。

 

そう言うわけで、膨大な時間を経て、ようやく穴あけ位置が決まりましたので、ドリルを入れていきます。

ドアクローザー取り付けのためドリルで穴を開けているところ
膨大な時間を経てようやく穴あけが出来る

ただし、この角棒の板厚が薄いため、普通に穴を開けただけでは、ネジを保持するのに必要な強度が確保できません。

そこで、ターンナットを使い、強度を稼ぐことに。

 

ターンナットとは、中空の壁の向こう側から、ネジをがっちりホールドしてくれる特殊なナットです。

ターンナットの写真を
ターンナット
ターンナットを入れたところの写真
ターンナットを入れたところ

こうして、全ての取付穴を開け、全ての穴にターンナットを入れ、ネジの強度を確保し、ドアクローザーを取り付けします。

 

そしてようやく完成。

門扉にドアクローザー設置後その1
ドアクローザー取り付け後
門扉にドアクローザー設置後その2
室内(駐輪場)側から見たところ

実は、お客様からもう一つ要望がありました。

それは、取り付けた後、外側から見てなるべく目立たない事でした。

 

取り付けるだけでも大変でしたが、さらにその上のご要望があったと言うわけです。

門扉にドアクローザー設置後その3
室外(通路)側から見たところ

上の写真が外側(通路と言うか、廊下の側)から見たところです。

どうでしょうか、なるべく目立たないようには設置したつもりですが・・・

 

最終的な仕上がりを見て、お客様は喜んで下さいました。

門扉にドアクローザー設置後その4

とても難工事でありましたし、プレッシャーもすごく、おそらく取り付け方法を考えてから施工が完了するまでの3~4日は、なかなかぐっすりと眠れませんでしたが、無事に完了し、喜んで頂けたので、苦労した甲斐があったなぁと思いました。

 

今回は何とか無事に取り付けが出来ましたが、条件によってはどう頑張っても取り付けが出来ない門扉もあると思います。

これから門扉を設置することをお考えの方で、門が自動的に閉まる必要があると言う方は、最初からドアクローザーかオートヒンジが付いている、もしくはオプションで付けられる門扉を選ぶことをお勧めします。

 

もし、もう既に門扉が設置されていて、自動で閉まるようにされたい方は、取り付けが出来るかどうかや、金額は状態によって大幅に異なりますので、その都度見積をお出ししますので、お問い合わせください。

 

今回は、駐輪場の門扉へのドアクローザーの取り付けのご紹介でした。

それでは、今回の施工例はこの辺りで。

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