事故物件での鍵開け

※こちらの記事は、読む人によっては一部不適切だと感じる内容かもしれません。

表現には最大限気を使っているつもりではありますが、読まれる場合は、自己責任でお願いいたします。


さて今回は、数か月前に、事故物件へ鍵開けへ行った際のことを書こうかと思います。

本当は書こうかどうかと悩んではいたのですが、厄落としの意味で書こうかなと思います。

というのも、思い出すたびに身体が重怠くなるので、書いてしまって一段落つけたいと思ったからです。

 

(と言っても、家の中に変なものがあったなどと言うわけではないのでご安心ください。ただ、感覚的に感じたことを書いているだけの記事です。

そんな訳で今回は写真などもなく、ただただ文字だけで構成された記事となっておりますがご了承ください)

鍵開けにいった経緯

まず、今回鍵開けに行った時の経緯についてお話いたします。

 

今回のご依頼は、顧客の弁護士様と司法書士様からのご依頼で、福岡県内のとある場所の戸建ての鍵開けと鍵交換をすると言った内容でした。

両者立ち合いでの作業であったため、全員の都合が合う日時を決め、後日現地へ行くことになりました。

 

予定日になり、現場へと向かいました。

行ってみると現場は、新興住宅地の一角にある、築15年くらいのきれいなお家でした。

 

こちらの司法書士様は、いつも約束している時間より早めに時間に来られる方なので、早めに行ったつもりでしたが、現場に着くと、もうすでに弁護士・司法書士の両名様はお待ちになられていました。

鍵開けを始めましたが…

ご挨拶をした後、鍵を開ける前に書類など確認事項を色々と確認しました。

と言っても何度もご依頼を下さっている方々ですので、確認をするのも気が楽です。

 

確認を終え、一緒に門をくぐり敷地内へ。
物件を確認すると、玄関勝手口共に、ピッキングでは開ける事が出来ない鍵がついておりました。

玄関は、鍵穴が二個(ツーロック)、勝手口は鍵穴が一個(ワンロック)と言った状況で、中に入るためには、玄関か勝手口のどちらかを破錠(※)をする必要がありました。

※破錠とは、破壊開錠のこと。破壊開錠・開錠・解錠のそれぞれの言葉の意味については、一番最後に書いています。

破錠の許可を取り、破壊して鍵開け

そんなわけで、玄関か、勝手口か、どちらかの鍵穴を壊さなければならない事を伝え、破錠の許可を頂きました。

 

こちらの司法書士様は、これまでに何度もご依頼を頂いた事のある方ですので、なぜ破壊をせねばならないかを説明せずとも、すぐに理解して下さいます。

それにしても、玄関先で話している時から、妙に身体が重い感じがすると言うか・・・

とにかくこの仕事を早く終わらせて、すぐにでもこの場を離れたいと言った気持になりました。
何となく調子が狂って、いつものように正常な判断が出来なくなりました。

(あれから数ヶ月経ちますが、今この記事を書くために、あの時のことを思い出しただけで、やはり何となく身体が重怠くなって来ました。ですが、厄落としの意味合いも込めて、早く書いてしまいたいので、書き上げる事に専念します)

正常な判断が出来なくなりましたと言うのは、あとで詳しく書きますが、本当は勝手口を開けてはいけなかったのに、玄関ではなく、勝手口の方へ開錠作業を行なってしまったのです。

玄関は鍵穴が二つ、勝手口は鍵穴が一個なので、勝手口の方が簡単そうなのですが、勝手口には見えている主錠の他に、もう一つ内締まり錠と呼ばれる内側からしか鍵が掛けれない錠が付いている場合が稀にあるのですが、今回はまさにそれだったのです。

どういう事かというと、内側から見るとサムターンが二つあるが、表側には鍵穴が一個しかないタイプで、いくら表に一個ある鍵を開けても、もう一個見えないところにある内締まり錠が掛かっているため、ドアを開けれないタイプなのです。

そのため、勝手口に内締まり錠が付いている時は、勝手口ではなく、玄関の方を鍵開けせねばなりません。
(と、簡単に書いてますが、見えないところにもう一個鍵があるかどうか確認するのはかなり大変です)


普段ならば
(今勝手口の表に見えている鍵穴は一個だが、本当に一箇所だけだろうか。見えないところにもう一箇所鍵が掛かっていないだろうか)
と、開錠作業に入る前に事細かく調べるのですが、
(調べ方は防犯上お伝え出来ません)
その時は鍵開けを終わらせて、一刻も早く現場を立ち去りたいと言う気持ちになっていましたので、
(玄関は鍵穴が二箇所、勝手口は一箇所。と言う事は、勝手口を破錠すればすぐに開けて帰れる)
と短絡的に考えてしまいました。

作業を始めるも、何となく嫌な感じが

こうして勝手口に内締まり錠がかかっていることに気づくこともなく、勝手口の鍵穴にドリルで穴を開ける作業に着手しました。

しかし、作業を始めると、何となく気持ちが焦り始め、普段どおりではいられない感じとなってしまいました。

 

そんな状態で作業を続け、もう完全に鍵が開く状況のところまで壊しました。

しかし、ドアは開くはずなのに、何をやっても開きません。

 

普段ならば、その時点で

(しまった、どこかに内締まりの錠が付いているのに気づかなかったんだ)

と、すぐに気づくのですが、その時は早く立ち去りたいと言う一心で、気持ちが焦ってしまってるので、そんな簡単なことにすら気付かず、

(何で開かないんだろう。早く現場を立ち去りたいのに)

と、ますます焦るばかりでした。

 

そのため、もう完全に鍵が開く状態になるまで穴をあけてるのに、穴のあけ方を間違ったのかもしれないと考え、さらに穴を大きくしていきました。

ようやく気付いて、玄関の鍵開けに切り替え

当たり前ですが、内締まり錠がかかっているのでドアが開くはずがないのですが、完全に気が焦っているためそのことに気付かず、どんどんと穴を大きくしていってしまいました。


(なぜ開かないんだ。とっくに開くはずなのに)
と気持ちばかり焦ってきます。

焦りながらしばらく色々と作業をしていると、ようやく内締まりの錠が付いているんだろうと言うことに気付きました。

そして司法書士様へ、内締まりがある事に気付かず勝手口を破錠してしまった事、そして今から玄関のツーロック共を破錠し直さねばならないので、もう少し時間がかかる事伝え、玄関の鍵開けに作業を切り替え、取り掛かりました。

次々起こる現象

こうして、玄関の鍵をドリルで破錠を開始しました。


しかし、どう言うわけか、ドリルの刃がポキポキ折れる。
新しい刃に替えても、少し掘るとポキっと折れて、また新しい刃に替えても替えてもまた折れて…
その折れる数は、尋常ではありませんでした。

それでも作業を続けていると、何となくどこからか
(開けられたくない)
と言う念が来たような気がしました。

(しかし、自分はこれが仕事だから、どうしても開けねばならないのだ)
と心に言い聞かせ、作業を続けました。

そうこうしていると、手持ちのドリルの刃が全部折れてしまったので、車の中から新しいドリルの刃のセットを降ろす事に。

ちょうど車の停めてたところが坂道だった事もあり、車の後ろのハッチを開けると、一番後ろに積んでいた、精密な鍵を彫る合鍵マシンがゴロっと車から転げ落ちました。

この合鍵マシンはかなり高額なのですが、ほんのちょっとのズレでも回らなくなる精密なU9と言うシリンダー専用の合鍵マシンで、ほとんどズレがなく合鍵が作成出来る優れものなのです。

(ホームセンターなどで使われている一般的な合鍵マシンは、合鍵を作成すると、コンマ数ミリずつズレが出ます。
U9の場合、少しでもズレた鍵を挿し込むと、鍵穴の調子が悪くなる可能性があるため、高額ではありましたが、このほど専用の合鍵マシンを導入しました)

そんな高価な合鍵マシンが車からゴロッと転げ落ちました。

普段なら、絶対に落ちないように気を使っているのですが、この日は全てが上手く行かず、気持ちが焦りまくって冷静さが全くありませんでした。

落ちたのが高価な精密機械なので、かなりショックを受けました。
(余談ですが、後日点検してみると、落とした衝撃で調子が悪くなっており、0.0数ミリ単位での調整をやり直すため、膨大な労力を強いられましたが、壊れてなかったのが幸いでした)

身体は重怠く、気持ちは焦り冷静さを欠き、ドリルの刃はポキポキ折れ、高価な機械は落ちて・・・
心身ともに大変な状態でした。

しかし経験上こんな時に落ち込んでしまうと、影響されて状況はどんどんと悪化するのがわかっています。

そこで
(高価な機械まで落とされて腹立つなー!)
と心の中で怒りました。

すると怒りのエネルギーでようやく冷静さを取り戻し、事がうまく運ぶようになり、ようやく無事に鍵が開きました。

随分時間が掛かってしまいました。

この後、弁護士・司法書士の両先生が確認のために中に入るのですが、ひとまずわたくしの仕事はここでようやく完了し、無事に現場を離れることが出来ました。

ようやく仕事を無事に終えることができたものの、まだ身体がどこか重怠いので、現場からはずいぶん離れていたのですが、いつもお参りに行く神社へ行くことにしました。

この日はよく晴れていて、海も空もきれいで、気分も良くなり、ようやく気持ちも落ち着いてきました。

後日談

実はこの時はまだ、あの現場が事故物件かどうかは知りませんでした。

 

しかし、身体が重怠かったこと、ドリルの刃がポキポキ折れたり、高価な機械が車から落ちたり、開けられたくないと言う念を感じたり・・・


恐らくそうなんじゃないかなと思っていた程度でした。

 

しばらく身体の重怠さは続いていたのですが、それも徐々によくなりました。

 

それから半月ほど経ち、その日の事をすっかり忘れていたある日のこと。


顧客の不動産業者様から、

「最近、○○の辺り(現場があった住所)で鍵開けに行ったことあります?」

と、一本のお電話を頂きました。

 

実は、今回ご依頼下さった司法書士の先生を紹介してくださったのは、その不動産業者様だったので、


「ええ、行きましたよ。その近辺にある戸建てへ、ご紹介下さった司法書士の先生と一緒に鍵開けと鍵交換に行きました」

と答えると、

「あぁ、あの先生からでしたか・・・。その物件の中は見られましたか?何か変わった様子はありませんでしたか?」

とおっしゃられたので、

「いえ、自分は鍵開けをしただけなので、中は入っていません」

と答えました。

事故物件だったと初めて知る

すると、その不動産業者様様から

「あの物件、実は事故物件なんですよ。家の中で、その家の人が自らの手で・・・」

と、衝撃の一言が。

 

そこで初めて事故物件だと知りました。


そして、その家のことを思い出すと、また身体が重怠くなりました。

 

「やはりそうでしたか・・・」

と答えると、

「やはりって、分かるのですか??」

と聞かれましたので、ドリルの刃が折れまくった話や、開けられたくないと言う念を感じた事などをお話ししました。


その方は、

「今度その物件に入るので、もし現場に行ったことがあるなら、どんな状態だったか教えてほしかったので電話をした」

と言うことでした。


ちなみにその方は、仕事柄事故物件に何度も入ったことがあるが、今まで何も感じたことがないとのことでした。

 

その時はそれで電話を終えました。


後日たまたまお会いしたので聞いてみると、あの電話の後、現場に行って中に入ったが、やはり何も感じなかったとのこと。

ようやく書き終えました

ようやく、あの時のことを書き終えました。

思い出すとその都度身体が重怠くなるので、書けば厄落としとなるかもと思い、早く書き上げたいと思っていましたが・・・


仕事の合間に書いていることと、思い出して書いているうちにしんどくなって一旦手を止めたりと言ったことが何度もあり、ずいぶん時間が掛かってしまいました。


それでもようやく書き終えることができたので、これで一段落できるかなと思います。

訳あり物件に鍵開けに行く機会が多い理由

わたしどもカギの救助隊福岡では、一軒一軒のご依頼を丁寧に行うため、他の鍵屋ではあり得ないことですが、お仕事を予約制としています。

 

なぜ当店が予約制にできるかと言えば、それは顧客となってくださっている不動産業者様をはじめとする住宅関係の業者様や、アパート・マンション経営をされているオーナー様などの数が多いことがあります。

 

予約制を敷いてしまうと、新規のお客様からのご依頼の数が減ってしまいます。

そのため普通はこの業界では、予約制などはありえません。

(日本全国の鍵屋を探しても、予約制のところは、当店だけではないかと思います)


しかし、もう十分に顧客の数を抱えさせて頂いている当店の場合、せっかく当店をお選びくださっているお客様に対し、理念として雑な仕事は決して出来ないので、あえて予約制としています。

 

「今すぐに来い」「一分でも長く待つことは出来ない」と言った方からのご依頼を受けてしまうと、どうしても仕事が雑になってしまいますね。

そこで、そう言った「今すぐに」と言う方々からのご依頼は、お断りしています。

 

(あり得ないと思われるかもしれませんが、中には20分でお伺いますと言っても、「遅過ぎる」「もっと早く来い」と文句を言う人もいるくらいなんです。

そういったのを一件でも受けてしまうと、時間確保のため、今行なっている作業を、雑になっても、早く切り上げねばならなくなってしまうと言うことは、想像に難くないと思います)

 

前置きが長々となりましたが、このように予約制をとっているため、一般のお客様からの緊急の鍵開けはほとんど入りません。

と言うか、予約が詰まっている事が多く、お受けすることが出来ないと言ったところが正直なところです。

 

 

そのため、鍵開けと言えば、一般のお客様からの緊急ではなく、固定のお客様からの“日時を合わせてお伺いするパターン”が多くなり、必然的に何かしらの事情のある物件へ行く割合が多くなります。

今回のような事故物件に限らず、夜逃げ物件、ゴミ屋敷、強制退去など実に様々です。

 

予約制をとっていることが、訳あり物件に鍵開けに行く機会が多い理由です。

 

鍵屋の仕事は楽しいのですが、事故物件の鍵開けだけは正直辛いですね。

その中でも今回は特にしんどかったので、これで厄落としとなってくれると良いですね・・・

破錠・開錠・解錠について

さてここからは、余談ではありますが、破錠・開錠・解錠について最後に書きたいと思います。

 

まず破錠とは、破壊開錠の略で、鍵穴を壊して開ける事です。


続いて開錠とは、鍵を開ける事。
あらゆる手段を使ってでも開けると言う感じです。
ドリルで破壊して開ける事も含まれるため、広義には破錠もこの開錠に含まれます。

対して解錠は、開錠と読み方は一緒ですが、破壊をせずに鍵を開ける事を指します。
ピッキングも、鍵穴を壊したり傷つけたりしない鍵開け方法なので、この解錠に含めても問題ないと思いますが、一般的には、鍵を使って普通に開ける事を指します。

特に開錠と解錠は読み方が一緒なので混同されがちですが、両者はちょっとずつ意味が違います。

今回の記事では破錠と言う言葉がたくさん出てきましたので、豆知識として破錠・開錠・解錠について書きました。

それでは、今回はこのあたりで・・・
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