夜逃げした家の鍵開け

 

あれは数年前の事・・・

 

 

 

ご年配の男性から

 

 

「息子と連絡が取れないので、鍵を開けて欲しい」

 

 

 

と、ご依頼を頂いた事があります。

 

 

 

ご家族といえど、そこに住んでいない方からのご依頼の場合、手続きや確認が色々と大変なのです。

 

 

 

夜逃げした家の鍵開け

なぜたくさんの手続きが必要なのか。

 

 

なぜ大変なのかと言うと、世の中には、色々な事情のご家庭が存在しているからです。

 

 

そのため、家族と言えども、またどれだけお困りだとしても、鍵を開けてはいけないケースがあるのです。

 

 

 

鍵開けをしてはいけないケース

 

 

鍵を開けてはいけないケースとは何なのか・・・

 

 

 

その事を例え話でご説明をします。

 

 

 

これはあくまでも例え話です・・・

 

 

 

仮に、若い男性から

 

 

「ここはうちの親父の家だから開けて欲しい」

 

 

 

と言われても、実はその人が、勘当しされて、家を追い出された息子さんかもしれません。

 

 

その場合鍵を開けてしまうと、

 

 

「何であのバカ息子を家に入れたのか!!

 

 

おかげで金庫の中の金がなくなっただろうが!!」

 

 

となりかねません。

 

 

 

また逆に、50~60歳代の女性から、

 

 

 

「離れて一人で暮らす娘の家なので開けて欲しい」

 

 

 

と言われても、その家庭ではとっくに親子の縁を切っているかもしれません。

 

 

その場合、

 

 

「やっとあの親と離れられると思っていたのに、あなたのせいでまたあの親に苦しめられる事になる。

 

 

また逃げなければならないけど、引越し代はどうしてくれるの?」

 

 

ともなりかねません。

 

 

 

そのため、上記のようなケースは、たとえ肉親であったとしても、鍵開けをすることが出来ません。

 

 

 

そのような理由により、鍵開けをしても大丈夫なケースなのかを見極めるために、手続きや、ご依頼人の身元確認が大変となるのです。

 

 

 

例外のケースもあります。

 

もちろん例外で、確認が簡素化される場合もあります。

 

 

 

様々なケースがあるので、ここでは詳しく書きませんが、その最たるものは、人命に関わる事や、事件性のある場合などです。

 

 

警察や消防、市の担当者からのご依頼による鍵開けがこれに該当します。

 

 

また、ご依頼者自体は一般の人ですが、警察官が立会ってくれるケースも確認が簡素化されます。

 

 

 

それは特殊なケースでの鍵開けでした。

 

今回お話するご依頼の内容を詳しくご説明致します。

 

 

まず初めに、ご年配の男性から

 

 

「息子一家と連絡が取れないので鍵を開けて欲しい」

 

 

と、ご依頼を頂きました。

 

 

指定された場所に行くと、そこはとある分譲マンションでした。

 

 

前述の通り、たとえ身内だとしても、その家に住んでない限りは、簡単には鍵開けのご依頼を受けるわけにはいきません。

 

 

その為、ご依頼者の身元確認もしっかりと行いましたが、それ以上に、このマンションの管理人さんが、この家の事情に詳しく、またご依頼人とも親しい関係であることもあり、鍵を開けても問題ないと判断しました。

 

 

 

マンションの管理人がキーマンでした

 

なぜここでマンションの管理人が出てきたのか・・・

 

 

実は、ご依頼人からお電話を頂いた時は、安否確認かと思いました。

 

 

が、現場でその方から話を聞くと、どうやらそれは違うと言う事が分かりました。

 

 

どうやらその方の息子一家が夜逃げをしたようだ。

 

 

その確認のために、鍵を開けたいとの事でした。

 

 

 マンションの管理人も、最近になって突然、その一家を見かけなくなった事を把握していました。

 

 

また、その管理人の話によると、ここ最近は、借金取りらしき人物がマンションの周りをうろついている事が多いとの事でした。

 

 

 

いざ鍵開けを開始しました。

 

身元確認なども終わり、そのお部屋の鍵開けを行いました。

 

 

マンションの管理人が、

 

 

「作業中に借金取りが来てはいけないので、下の管理人室で見張っておきます」

 

 

と言って、下に降りて行きました。

 

 

数年前でしたので、まだピッキング対策をしていないお家が多い時代でした。

 

 

当然、この家も、ディスクシリンダーと言う、ピッキングに弱い鍵が使われていたので、簡単に鍵開けをすることが出来ました。

 

 

 

鍵を開けた後

 

 

さて、鍵を開けるまでは問題をありませんでした。

 

 

しかし、開けた後が大変でした。

 

 

全ての作業を完了し、ご依頼者様と雑談をしていると、管理人が血相を変えて走って来たのです。

 

 

一斉に退散!!

 

鍵を開けると、ご依頼者様が、家の中を確認しに入りました。

 

 

中は、もぬけの殻。

 

 

ではなかったようですが、ゴミや不用品であろうと思われる物のみが残っている状態でした。

 

 

念の為に、鍵交換もしたいとの事でしたので、取り替えをし、新しい鍵をお渡ししました。

 

 

片付けも終えて、雑談をしているところに先ほどの管理人が血相を変えて走って来たのです。

 

 

「借金取りが来ましたよ!!

 

今はオートロックの外にいて、中に入れずにいますが、他の住人がオートロックを開けた時に、入って来ることも考えられます。

 

すぐに逃げて下さい!!」

 

 

と言いました。

 

 

なぜか自分が・・・

 

私は裏の共用部から、ご依頼者様は、そことは別の共用部のドアから、それぞれ出て行きました。

 

 

当然借金取りは、お父様(ご依頼主様)の存在は知りません。

 

 

しかし、

 

 

”管理人がそわそわしていた”

 

 

からなのかどうかは定かではありませんが、借金取りは私の存在に気付き、近づいて来ました。

 

 

「お宅、鍵屋さんだろ?

 

 

このマンションに何しに来たとや??」

 

 

と語気を荒げながら言いました。

 

 

答える筋合いはないと返したのですが、

 

 

 

「×××号室の鍵を、家族の依頼で開けに来たんじゃないやろな??」

 

 

と言ってきましたので、私は、

 

 

まずその部屋ではないし、鍵の交換に来ただけだ

 

 

と話たのですが、

 

 

「嘘をつくな。×××号室の鍵を開けたんやろが!!

 

 

誰の依頼で開けたとか!!

 

 

ちゃんと答えんや!!

 

 

中の様子はどうなとったとや!!」

 

 

と怒鳴り始めました。

 

 

私は、何の話をしているのかさっぱりわからん、バカバカしいと言って車に乗り込み帰ろうとしました。

 

 

すると何を思ったのか、借金取りは、私の車の前に立ちはだかり、行く手を遮ろうとしました。

 

 

 

が、私がアクセルを踏み込むと、悪人顔の借金取りと言えども、一瞬怯んだので、その隙に避けて帰路につきました。

 

 

 

追われる鍵屋

 

 

その借金取りは、諦めがつかないのか、すぐさま走って黒塗りのベンツに乗り込み、私を追いかけて来ました。

 

 

 

ベンツimg
写真は別の現場で遭遇したベンツで、本文とは関係がありません

 

 

(どうして自分が追われなければならないんだ)

 

 

 

と、思うと同時に、

 

 

(少なくとも、この借金取りはご依頼者様が誰か分かっていないし、こっちに来たおかげで、ご依頼者様は無事に逃げられるだろう)

 

 

とも思いました。

 

 

 

幸い、そのマンションは、細い路地が多い地区にありましたので、軽自動車に乗っている私はあえて細い路地ばかりを走りました。

 

 

 

鍵屋と言うのは、毎日毎日、様々なお客様のところにお伺いをするため、道が詳しくなります。

 

 

そのため、借金取りのベンツが入りづらい道ばかりを走りました。

 

 

 

最初は一生懸命ついてきた借金取りでしたが、次第にあきらめ、ついにはついて来なくなりました。

 

 

 

まだ借金取りが、乱暴だった時代。

 

 

あれは数年前の出来事でした。

 

 

まだ借金取りが語気を荒げていた時代でした。

 

 

今同じような状況になったとしても、あの時のように、借金取りが私を追いかけて来ることはないでしょう。

 

 

このような現場にいくつか遭遇しましたが、あの鍵開けの依頼は、今でも印象に残っております。

 

 

出来ればこのような現場には当たりたくはないのですが、まぁ、これも鍵屋の宿命かなと思っております。

 

 

 

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