さて、梅雨も開け、福岡も本格的な夏日が始まった先日、安否確認のご依頼を頂き行ってまいりました。
ご依頼主様は、そのマンションの一室を所有されているオーナー様でした。
「その部屋から異臭がすると言われてしまったので、鍵を開けて、中で誰か亡くなったりしていないか確認したいのです」
との事でした。
警察官立会のもとでの鍵開けと言うことであり、もうすでに警察官の方が現場で待機しているとのことで、急いで行きました。
さて、行って見ると、なるほどものすごい臭いが現場に立ち込めていました。
ただ、ご遺体があるような臭いとは若干違った感じでしたが、とにかく強烈な臭いで鼻がもげそうでした。
警察官の方のご指示により、鍵開けをし、開いた瞬間に、ドアから離れました。
もし、中で何かあった場合、中を一番初めに見てしまうと、第一発見者となってしまうためです。
少々語弊はありますが、同じ現場を目撃しても、第一発見者か否かで、その後の手続きと言いますか、調書関係での労力が、随分と違います。
(第一発見者になると、職業、住所、生年月日などを聞かれます。場合によっては調書の協力も必要になります)
この物件の場合、まず初めに警察官の方が中に入り、入念に中を調べ始めました。
その結果、中にご遺体などはないとのことで、ホッとしました。
と、言うのは、実は私、その時はまだ夕食前でありまして、まぁ仕事柄少しは慣れてるとは言え、食事前にご対面があると、その後の食欲にも若干影響があります。
と言いながら、結局はいつも食べるのですが。
では、この異臭の原因はなんだったのかというと、この異臭の原因は、部屋の中がゴミ屋敷化されているからだと言う事でした。
ドアを開けると、黒い虫(!)がたくさん出てきました。
さぁ、ここからが大変。
実は、オーナー様にはこの部屋を誰かに貸したと言う事実はないらしく、まさか部屋の中がこんなことになっているとは夢にも思わなかったそうです。
人が住んでいる形跡があることから、どうやら何者かが不法占拠している様子。
警察官の方の話によると、安否確認までは仕事ではあるけれど、遺体など不審なものがない以上、ここから先は民事になるので立ち入れないとの事でした。
私どもも、鍵を開けるまでが仕事でありますので、お悩みになられているオーナー様のお話を聞いてあげる事は出来ますが、そこから先は立ち入る事が出来ず、その後どうなったかは現時点では不明であります。
この仕事をしていて、ある種驚きなのですが、何者かにより、不法占拠されている物件って、実は結構あるんです。
最も多いのが、家の持ち主がお亡くなりになり、空家となったその家に、そのまま何者かが居座って、住み着いていると言うケースです。
鍵屋の仕事と言うのは、そんなこんな、様々な人間模様を目にする仕事なのです。
今回は、不法占拠された物件の鍵を開けに行った時のお話でした。