カギの救助隊福岡は仕事柄、たまに、福岡の警察から、捜査の協力を要請されることがあります。
その中でも特に印象の深かった出来事をご紹介させて頂きます。
それは、深夜2時を回った頃だったと思います。
ご年配の男性から、車の中に鍵を入れたまま、インロックをしてしまったので、今から来て欲しいとのご依頼を頂きました。
すぐさま作業車に乗り込み現場へと向かいました。
現場は住宅街の一角にあるお家。
深夜、真っ暗で物静かな街並みの中、車を走らせていました。
「あの角を曲がればお客様の家だな」
と思いながら角を曲がると、現場の方向に無数の赤い回転灯が。
「事故かな、それとも火事かな・・・」
と、思いながら近づくと、何とそれは沢山のパトカーでした。
ふっと見ると、道路の真ん中には、お客様から、鍵をインロックしたので開けて欲しいと言われていたのと同じ車種の車が停まっていました。
ナンバーを確認すると、依頼者から聞いていたナンバーと一致します。
しかし、よく見るとその車には男性が一人乗り込んでいるのです。
「鍵が開いて、キャンセルなのかな?
それにしても、この沢山のパトカーと警官は一体何なのだろうか」
と、思いながら、とりあえず車を降りると、二人の警官がこっちに走ってきました。
『鍵屋さん、こっちです!!
この車です!!』
「???・・・
えっ、この車ですか??」
『そうです!!
この車です、お願いいたします!!』
意味が分からず、立ち尽くしていると、一人の警察官の方が状況を教えてくれました。
飲酒運転をしている車を発見したが、停止命令に従わず逃走を始めた。
追跡を続けた結果、この場所で突然停まり、車の中に立てこもったまま出て来なくなった。
と、言うことでした。
そして近所の方が、当店に電話を掛けて来たのだそう。
とにかく車の鍵を開けて欲しいとの事でしたので、作業を開始しました。
犯人が立てこもった車。
その車のドアをピッキングする自分。
そしてその後ろに、数人の警察官。
「え、犯人に一番近い距離にいるの自分じゃないか」
と、気付き、ちょっと恐ろしくなりました。
そんな、普段の営業では感じられない、なんとも言えないプレッシャーに耐えながらピッキングをし、鍵を開けました。
ガチャ
と、鍵が開いた瞬間、自分は後方にさっと下がりました。
それと同時に複数の警官が車に飛びつき、立てこもった男性を引きずり出しました。
自分は別のご依頼があったので、すぐ現場を離れたので、その後どうなったかはよくわかりません。
後日、調書を作るので協力して欲しいと警官の方がお店に来られました。
数回に渡る調書作りの協力要請の後、鍵開けの作業料金とは別に、捜査協力費を頂きました。
時々、福岡県警察からご依頼を頂くことがあるのですが、あれは特に印象深く、数年経った今も、鮮明に思い出します。
今回は、鍵屋として犯人逮捕に協力した時の話でした。