前回、鍵屋を運営していて、ツラい仕事である、安否確認のための鍵開けのお仕事のご紹介をしました。
鍵屋の仕事と言うのは、基本的に困っているお客様の問題解決のお手伝いをする事が多く、楽しく、またやりがいのある仕事なのですが、一部にはやはりツラい仕事があります。
安否確認のための鍵開けとともにツライのが、今回ご紹介させて頂く、泥棒の被害に遭われたお客様のもとに鍵工事にお伺いする仕事です。
今回は特に、店舗や事務所などでお話をさせて頂きます。
先日のこと、とあるお客様から、
「高橋さんはおられますか」
と、私、高橋宛にお電話を頂きました。
聞くところによると、以前私がその方のご兄弟のおうちの鍵交換をした事があり、今回はそのご兄弟の紹介で、私宛にお電話を掛けて下さったとの事でした。
「鍵交換をして欲しいのですが、今日の予約状況はどうですか?今日中に対応していただけますか??」
との事でしたので、はい大丈夫ですとお答えしました。
すると
「実は私の経営する店舗なんですが、空き巣に入られたようなので、今日中に対応して欲しいのです」
と、おっしゃられましたので、すぐに駆けつけました。
行ってみると、その店舗のドアの鍵穴に傷が入っていました。
お客様は何者かに泥棒に入られたと言うことで、かなり気が動転されておりました。
「高橋さん、どう思われますか??どんな泥棒がうちを狙って来たのでしょうか??」
と、質問されました。
警察官の方も、意見を聞きたいとの事でしたので、現場を色々と拝見いたしました。
その結果、
・鍵の差し込み口にドライバーを刺したような傷。
・シリンダーカラーは工具が突っ込まれ、めくれ上がっている。
・ドアと枠のあたりにも、工具でこじられたような形跡。
・しかし、受け金具は変形はおろか、傷も付いていない。
・サムターンと呼ばれる室内側のつまみにも、傷一つない。
・シリンダーを外し確認してみると、錠本体にも傷はない。
・シリンダーはピッキングで不正解錠出来ないタイプの鍵穴
と言う事が分かりました。
シリンダーカラーや、受け金具と言っても、この記事をお読みの方にはわからないと思いますので、以下に写真を載せますので、ご参考にしてみて下さい。
(下記写真は、今回の犯行現場の写真ではありません。)
このような状況から総合的に判断し、一つの結論に達しました。
『お客様、大変残念ですが、正直にお話をさせて頂きます。
この犯行は、外部の人間によるものではなく、内部からの犯行と思われます』
と、私はお客様にお伝えしました。
たまたまうちのお店が泥棒に狙われたのか。
そうだとしたら、運が悪かったのだ。
仕方がない、諦めようと思っていたところに、内部からの犯行である可能性があると聞かされ、お客様はショックをお受けになられました。
なるべくなら私たちもこのような現場には当たりたくない、また、ただ鍵を交換するだけで、終わりたいと思うのですが・・・。
このような現場の場合、お客様が再び被害に遭わないために、被害に遭った原因をお客様とともに、探さねばならない事もあります。
また、今回は、警察官の方から、意見を聞かせてもらいたいとの事でしたので、あくまで推測ですが、自分の感じた事をお話させて頂きました。
『なぜ外部の人間ではないと思ったのか、これからそれをご説明をさせていただきます。
まず、この鍵穴は、ピッキングで開けるのは困難なタイプですので、ピッキング犯による犯行は考えにくいです。
また、ピッキング犯であれば、このような雑な犯行はしないでしょう。
ピッキング犯の多くは、痕跡を残さず犯行に及ぶため、被害者が、泥棒の被害に遭ったことすら気付かない、または随分経ってから被害に遭った事に気付くと言う事が多々あるほど、現場を全く荒らしません。
さらに、ドライバーのような工具を鍵穴に差し込んだ形跡がありますが、この鍵は、そのような行為で開くようなものではありませんし、事実、内部を分解したところ、内部のピンに破損がありませんので、それによって鍵が開けられたわけではありません。
シリンダーカラーが工具でこじられ、めくれ上がっておりますが、錠本体に傷もなく、カム送りによる犯行でもありません。
また幸い、お客様のお店のこの鍵は、カム送りの対策もされております。
ドア枠に工具を差し込んだ形跡もありますが、受け金具に変形はおろか、傷一つありませんので、バール破壊による犯行でも、もちろんありません。
サムターンに指以外で触れた形跡もなく、またドアの内側に小さな傷一つありませんので、サムターン回しによる犯行も考え難いところがあります。
また、サムターン回しをするような泥棒は、最初からサムターンを狙ってくるため、このように鍵穴を壊したり、カラーを傷つけたりしないと思われます。
以上の事から、残った可能性はただ一つ、犯人は合鍵を使い、犯行に及んだものと推測いたします。
よって、大変残念ではありますが、外部による犯行と言うよりも、内部の人、もしくは辞めた人間が合鍵を持っていて、それを使い侵入した可能性が高いと思います。
もちろん外部の人間がお店に客として来た時に、鍵を盗んで合鍵を作り、再び鍵を戻しに来た可能性もなくはないですが、その可能性は非常に低いと思われます。
いずれにしても何者かが、合鍵を使い犯行に及んだ後、カモフラージュと言うか、捜査を撹乱する目的で、鍵穴周辺に傷を付けたりなどの行為をしたのではないかと思われます』
と、お伝えしました。
お客様はしばらく考え込まれた後、
「そういえば、残念だけど心当たりがなくはないですね」
と、おっしゃられました。
「実は、今回は仕事道具と、売上金を盗まれたのですが、よくよく考えれば、高橋さんのおっしゃられた通り、売上金の置き場所は、内部の人間、もしくはやめた人間しか知り得ない事ですよね」
とも、おっしゃられたので、”店内は荒らされていましたか”とお尋ねしました。
すると、”店内は全く荒らされておらず、引き出しの中の仕事道具と、隠し場所に置いておいた売上金だけが綺麗に無くなってた”との事でしたので、
『犯人は売上金のありかがわかっているので、鍵を開けた後、売上金の隠し場所にまっすぐ向かって行ったのでしょう。
本当に鍵穴を壊して中に侵入するような泥棒なら、店内を荒らさず犯行をすると言うのはまず考えにくいですね。
また、引き出しから仕事道具を盗み、そして引き出しをきちっと閉めていたとの事でしたが、お客様の業界の人にとっては、その仕事道具は大変価値があるでしょうが、一般の人間は普段の生活の中で使う事はありません。
また盗んだものを売りに出すと、そこから足がつくので転売目的では盗まないでしょう。
そう言った意味でも、外部の人間の可能性は低いかもしれませんね』
とお話をさせて頂きました。
外部からたまたま泥棒に狙われただけならまだ諦めがつくのに・・・
と、お思いのお客様に、正直に状況をお伝えするのは大変心苦しく、ツライ仕事であります。
私どもは、不安を取り除くために、鍵を交換し、お客様の心が少しでも晴れるように、お話を聞くことしか出来ません。
そうこうしてるうちに、鍵穴から、犯人のものと思われる指紋が検出されたそうですので、まもなく犯人が誰なのかわかるのかもしれません。
さて、このケースのように、やめた社員が合鍵を使って犯行に及んだと言う現場にお伺いをする事が多々あります。
社員の入れ替わりがあった際は、泥棒の被害に遭わないよう鍵交換をしましょう。
もし仮に、被害に遭ってしまうと、金品が盗まれるばかりでなく、お互いが
”誰が犯人なんだろう、自分は疑われてるんじゃないか”
と全員がが疑心暗鬼になり、仕事の士気が下がる事も考えられますので、残った社員を守る意味でも、鍵交換は必ずされた方が良いかもしれません。
カギの救助隊福岡では、二回目以降の鍵交換は、お値引きをさせて頂いております。
また、定期的に鍵交換をされるお客様は、不動産業者様やアパート・マンションのオーナー様に限らず、どのような業種の方でも、また年間の鍵交換の個数がたとえ少なくても、業者向け価格で作業を致します。
そのため当社は、不動産業・リフォームなどの住宅関連業者様はもちろん、飲食店・運送業・小売店など、様々な業種のお客様から選んで頂いております。
鍵交換でお悩みでしたら、ぜひカギの救助隊をご利用下さい。
誠心誠意を持って、まごころで作業をさせて頂きます。
さて、今回は、鍵屋としてツラい仕事の一つである、泥棒の被害に遭われたお客様のもとにお伺いする事のご紹介でした。