バンピング解錠と言う言葉を聞いたことがありますか?
鍵を不正解錠する方法はいくつか存在しますが、バンピングと言うのもその一つです。
バンピングは、開けれるものが限定されますが、良く皆さまが耳にする機会の多いピッキングよりも、(道具さえあれば)簡単に出来る不正解錠の方法です。
鍵を使わず、鍵穴を不正解錠する方法の種別をここで大まかに述べます。
ここでは住宅の鍵に焦点を当ててお話をします。
自動車・バイクは、住宅と方法と言うか、犯人像や目的も違いますのでここでは取り上げません。
あくまで住宅・事務所など建物に泥棒に入る時に、犯人に使用される不正解錠の種別をお伝えします。
名称 | 鍵の不正解錠の手口 |
ピッキング | ピックと言うヘアピンのような工具を使い、鍵穴を引っ掻いて開ける |
鍵穴壊し | ドリルなどで鍵穴を破壊する |
バール破壊 | バールを使ってドア枠を破壊しドアを開ける |
丁番落とし | ドア丁番を切断し、ドアを開けて泥棒する |
ガラス破り | ガラスを割って、クレセントと呼ばれる窓の鍵を開けて侵入する |
焼き破り | シャッターなどの金属部をバーナーなどで焼いて切断する |
バンピング | バンプキーと呼ばれるものを使い鍵を開ける |
上記は、ほんの一例ではありますし、また人によって呼び名が違ったりしますが、大まかなものだけを記載しました。
先にも書きましたが、みなさまがよく耳にするのは、ピッキングと言うものでしょう。
十数年前、海外からのピッキング犯により、我が国のたくさんの家庭が被害に遭いました。
その事もあって、ワイドショーや週刊誌は、こぞってこの話題ばかり報道しておりました。
そんな事もあり、鍵の不正解錠=ピッキングと言う図式が皆様の頭の中に出来上がったのではないでしょうか。
ところで皆さまの中には、左の写真のような鍵を目にされた方もおられるのではないでしょうか。
ピッキングに弱い鍵と、テレビや週刊誌で散々叩かれたディスクシリンダーです。
この時期前後に、時代に合わなくなったので、メーカーも生産を止めましたね。
まだ家や事務所で、使用されている場合もありますが、現在ではほとんど目にすることはありません。
ピッキングとは、ヘアピンのような工具で鍵穴を引っかき、鍵を開けると言う手口です。
高度な技術が必要ですが、訓練して体得し、腕が上がれば、様々な鍵を、痕跡を残すことなく開ける事が出来ます。
さて、それでは、バンピングとは、どんな不正解錠の方法なのでしょうか??
またピッキングとの違いは??
それについてお話をさせて頂きます。
高度な技術が必要なピッキングと違い、バンピングによる鍵の不正解錠は、工具さえあれば誰でも簡単に出来ます。
何度か練習をし、コツを掴めば、特別な技術も必要ないのです。
実際に海外のサイトでは、5~6歳くらいの子供がバンピングで鍵を開けてる動画があるくらいです。
え、そんな簡単ならば、ピッキングよりも流行るのでは?
と、お思いかも知れませんが、ピッキングとバンピングでは様々な違いがあります。
腕があり、ピックとテンションと呼ばれる工具の二つさえあれば、様々な鍵を開ける事の出来るピッキングとは違い、バンピングによる不正解錠は、特定の構造の鍵穴にしか通用しません。
また、通用するタイプの物だとしても、Aと言う鍵穴にはA専用の工具が、Bと言う鍵穴にはB専用の工具が必要なのです。
そのため、簡単に言えば、(ピッキング対策さえされてなければ)狙いやすそうならば、どこでも入れるピッキング犯と違い、バンピング犯は、この家が狙いやすいと思っても、その家の鍵穴がバンピングが出来るタイプであり、かつその鍵穴用の工具を持っていないと入る事が出来ません。
上記の理由により、今のところ、バンピングと言う手口は、ピッキングほど流行ってはいません。
それではバンピングに弱い鍵とはどんなものでしょうか。
それはズバリ、ピンシリンダータイプのものです。
ピッキングに弱い、ディスクシリンダーと言う鍵は、意外にもバンピングの被害には遭いません。
ピッキングに関して言えば、ディスクシリンダーよりもピンシリンダーの方が強いのですが、バンピングに対しては、その逆となります。
ピッキング対策用に、鍵穴にアンチピックピンというのを採用し、対ピッキング性能を高めたピンシリンダーでさえ、バンピング対策をしていなければ、バンピングの被害に遭ってしまいます。
ピンシリンダーとディスクシリンダーは、内部の構造が全然違います
が、ここでその構造の違いを取り上げると、それだけでページがかなり大きくなってしまうので、ここでは取り上げません。
が、簡単な見分け方だけをお伝えしましょう。
ピンシリンダーとディスクシリンダーは、鍵を見ればどちらか大体わかります。
ここに三種類の鍵の写真を載せました。
左からピンシリンダーの鍵
真ん中ディスクシリンダーの鍵
右ロータリーディスクシリンダーの鍵
となっております。
左の鍵は、片面にしか刻みがなく、残りの二つは左右両面に刻みがあります。
概ね、片側にしか刻みがないものが、ディスクシリンダーと覚えて頂ければ大丈夫です。
もちろん例外もあります。片面にしか刻みがないディスクシリンダーや両面に刻みがあるピンシリンダーもありますが、玄関用の鍵としては、あまり採用されていません。
ディンプルキーと言うのは、ピンシリンダーのピンの数を増やした構造の物です。
通常ピンシリンダーは、鍵穴の中にピンが5~6本というのが一般的です。
(7本以上入っているものもあります)
それを2倍~3倍と増やしたものがディンプルキーです。
例えばゴールのV18にはピンを3列に配し合計18本のピンが、
最上級の防犯性能を誇るカバスターネオは、5列で最大時26本のピンが配列されています。
写真は左がディンプルキー(ゴールV18)
右がピンシリンダー(ゴールP)です。
そうです、ディンプルキーも基本構造は、ピンシリンダーなのです。
先ほど名前が出てきたゴールV18や、カバスターネオなどは、当然の事ながら、ピッキングだけでなく、バンピング対策もされていて安全です。
が、ディンプルキーの中にも、バンピングに弱いものも存在しているので、注意しましょう。
左の鍵は、バンピングに弱いと言われるマルチロックのものです。
破壊・ピッキングに対しては非常に強いのですが。
このマルチロックをバンピングにする工具は、世界各国で出回っているという話も存在します。
まとめとして、今はまだバンピングによる被害は少ないかも知れません。
(ただ、ピッキングもバンピングも、腕の良い泥棒の手に掛かると、痕跡なく鍵を開けられてしまうので、それだと特定されていないだけかも知れませんが・・・)
今後、治安の悪化がもっともっと進んで行くことも考えられます。
そのため、ピッキングや鍵穴壊しに対する性能だけではなく、バンピングの対策もされているのかを視野に入れる必要があると思われます。
見た目がディンプルキーになっているだけの物を選ばない、本物を選ぶ。
これがポイントです。
とは言え、どんな鍵を選べば良いのかわからないと思います。
福岡地区にお住まいの方は、一度カギの救助隊福岡にご相談下さい。
残念ながら福岡地区以外(当社エリア外)の方は、詳しそうなお店に相談をしてみて下さい。
大きそうに見えても、下請けに仕事を流しているだけの鍵屋には頼まない方が良さそうです。
電話の問い合わせの段階で、その業者の知識の深さが、ある程度わかるかと思いますので、その事を頭の片隅に入れて電話を掛けてみて下さい。
それでは今回はこの辺で。