今回の施工例では、ガラスドアに面付本締錠を追加で取り付ける工事について紹介させていただきます。
今回のご依頼としては、店舗のドアにもともと付いているガラスドア錠が壊れてしまい鍵がかけれないので、緊急で鍵が掛けれるようにして欲しい。と言った内容でした。
本来ならば、同じガラスドア錠を取り寄せて交換すれば済む話なのですが、ここで使われているガラスドア錠が特殊なもののため、メーカーでの受注生産品のため、入荷まで2ヶ月もの時間がかかるとの事で、防犯上それまで鍵がかけれないのは困るとの事で、緊急で面付本締錠を追加し、鍵が掛けれるようにしました。
ここでは、錠前が故障して鍵がかけれないためですが、防犯のため、もう一個鍵を追加したい場合も同じ工事で対応が出来ますので、ガラスドアの防犯をお考えの方もぜひご参考にされてください。
今回のガラスドアに付いているガラスドア錠のメーカーですが、WEST(ウエスト)というメーカーでした。
日本の鍵のメーカーと言えば、美和ロック(ミワロック=MIWA)やゴール(GOAL)が有名なので、この二つのメーカーならば名前を聞いたことがあるという方も多いのではないかと思います。
これらのメーカーは、よほど特殊でない限り納品が早く、カギの救助隊福岡でも在庫しているものもあるので、当日~1週間ほどで入荷するものが多いです。
対して、WEST(ウエスト)と言うメーカーのものは、ほとんど使われていない関係上、当店でも、また問屋にも在庫がない場合が多く、また基本的に受注生産品のようなものが多いため、納期がかなりかかるものが多いです。
今回の錠前は納期が2ヶ月との事でしたが、多くのものは納期が1~2ヶ月なので、WEST(ウエスト)の錠前をお使いの方で、最近鍵の調子が悪いと感じる方は、早めに業者に相談したほうが無難です。
同じWESTでも、日本家屋の引違い戸錠などは、たくさんのお家で採用されているため、数がたくさん出ているので、カギの救助隊福岡でも在庫しているものもあるのですが、基本的にWEST(ウエスト)は、ほとんど使われていない物が多く、先述の通り在庫もなく、また受注生産扱いの物が多いので、お家の、または会社の鍵がWESTだという場合は、壊れてからではどうしようもない場合が多いので、毎日の鍵の施解錠の操作時に、調子が悪くなってないか注意しておいた方が良さそうです。
WEST(ウエスト)の錠前が納期がかかるならば、他メーカーへの切り替えをしたらどうか。
と言う疑問がわいてくる方もおられるかもしれません。
ただ、メーカーが違うと、錠前の大きさや穴の位置が変わってくるので、そのまま他メーカーへ簡単に取替ができません。(いわゆるポン付け)
ドアにはその錠前の専用の穴が開いてしまっているので、別のメーカーの錠前を付けるとなると、何かしらの加工が必要となってきます。
加工は軽い加工で済む場合と、穴をひたすら追加していって、また前の穴を隠す部品を作成してと、かなりの難工事になる場合があります。
それでも、カギの救助隊福岡では、他社から取替え不可と言われてしまったドアでも、何とか加工して取り付けたりした事がこれまでに無数にあるので、多くの場合加工すれば何とか対応致します。
余談ですが、例外は公団住宅の鍵などです。
公団住宅などで使われている鉄扉は、規格が決まっているため、各メーカーが同じサイズの錠前を作っているので、錠前一式全部の交換の場合は他メーカーに切り替えても、何の加工をせずとも、まさにポン付けが出来ます。
今回のガラスドアですが、納期一週間ほどで入荷するメーカーの部品があり、加工をすれば何とかなりそうでした。
が、錠前がドアの下の枠に埋め込まれているため、錠前を替える際にはドアを外さねばなりません。
それだけだったら良いのですが、ガラスの、まして枠で囲まれていないガラスのドアを外して、外した状態で加工をすると言うことは、加工中にガラスが割れるリスクが高いです。
加工中に割れないように常に誰かがしっかりと支えていなければならず、またそうまでしても割れるリスクが高いため、人件費や加工費用を考えるとかなりの高額でした。
(ガラスを支えているのは下の枠だけなので)
同じガラスドアでも、下の写真のように、ガラスの四隅にしっかりと枠の入ったドアならば、割れるリスクは少ないです。
このように、今回は他メーカーに切り替えも選択肢としてはあったのですが、WEST(ウエスト)の二ヶ月に比べて一週間と納期は短いとは言え、一週間かかる事と、ガラスが割れるリスクがあるため、人件費と加工の費用がかかり、金額が少し高めになってしまう事があり、今回は面付本締錠の追加となりました。
それではここから、ガラスドアに面付本締錠を取り付けた際の工事について紹介していきます。
まずは、面付本締錠用の穴を開けていきます。
枠はステンレスの板厚の分厚いものなので、通常のドリルの刃では穴が開きません。
ステンレス専用刃で開けていきますが、硬いのでなかなか穴が開きません。
なお、ガラスドア錠は、下の枠の中に埋め込まれているため、交換する際はドアを外さねばなりません。
しかし面付本締錠は、枠の面の部分に取り付くので、ドアを外す必要がありません。
ですので、ドアを支える人員もいらず、またガラスを割るリスクもありません。
従って、他メーカーのガラスドア錠に加工して交換する事に比べ、人件費も必要なく、加工費用も抑えられます。
さて、このようにして面付本締錠を付ける穴をあけましたが、それだけではいけません。
デッドボルト(日本語でかんぬき)が入る穴を、床面に開ける必要があります。
床はコンクリートなので、コンクリートドリルで穴をあけ、チゼルと言う叩く部品でデッドボルト用の穴を成型していきます。
このようにして、デッドボルトが入る穴を作成して、受け金具を取り付けてデッドボルトが入る部分は完成です。
このあといよいよドアの方に面付本締錠を付けて完成です。
さて、ここまで来たらもうあと少しで完成です。
実はここまで4時間。
この日は気温が36度を超えている真夏日で、閉め切った室内で工事をしていましたので、滝のような汗が噴き出していました。
ここから一気に取り付けしていきました。
完成後の写真が下の写真です。
上の写真のように、面付本締錠は、ドアの室内側の面に錠本体が付くので、ドアを脱着しなくて良いのです。
なお、今回は営業終了後と始業前にこのドアから出入りするため、外側に鍵穴のある面付本締錠を付けました。
もし、他に勝手口等があり、このドアから出入りしないのであれば、外側に鍵穴のない、内締まりのみのものがお勧めです。
鍵穴はピッキング対策しているものの、鍵穴があるとどうしても泥棒にそこを狙われる可能性が出てきてしまいます。
しかし鍵穴がなければ、外からその部分を開けることが出来ず、狙わらる心配がありません。
今回は、このようにガラスドアに面付本締錠を取り付けいたしました。
今回のように、もともと付いているガラスドア錠の故障などではなく、防犯性能を高める目的で、鍵をもう一つ増やしたいという場合は、今回のように面付本締錠がお勧めです。
しかしながら、今回のように、もともとの鍵が故障と言う場合は、納期を待てるのであれば、故障したガラスドア錠を同じガラスドア錠への交換がおすすめです。
なぜなら、ガラスドア錠は裏表鍵穴の両面シリンダーを選択できますが、面付本締錠は基本的にそれが選択できません。
なぜ、両面シリンダーが良いかと言えば、ガラスなので、ガラスを割られて手を入れられた場合、室内側がサムターンだと、サムターンを操作してドアを開けられる可能性がありますが、両面シリンダーだと室内側も鍵なので、たとえガラスを割られて手を入れられても開けられることがないからです。
そのため、理想は同じ両面シリンダーのガラスドア錠への交換が望ましいです。
今回のように、ガラスドア錠がWEST(ウエスト)などの納期がかなりかかるものの場合でも、二ヶ月は厳しいが一週間程度なら待てるという場合で、費用が高額でも大丈夫と言う場合は、他メーカーのガラスドア錠への交換がおすすめです。
理由は、先述の理由と同じで、ガラスドア錠なら両面シリンダーが選択できるからです。
余談ではありますが、WEST(ウエスト)のガラスドア錠は両面シリンダーしかありませんが、他メーカーのガラスドア錠は両面シリンダーに加え、外側鍵・室内側サムターンも選択できます。
帰る際だけでなく、営業終了後に一時的に鍵をかけるなどの場合は、両面シリンダーだと使いづらく感じる方もおられるかもしれません。
そのような場合、WEST(ウエスト)以外のメーカーの場合で、防犯性能よりも使い勝手重視の場合は、室内側をシリンダーではなくサムターンを選択したほうが良いでしょう。
余談でした。
さて、長々となりましたが、今回のガラスドアに面付本締錠を取り付けた時の工事紹介はこの辺りで終わろうと思います。
施工例ページにはその他様々な施工例を載せておりますので、よろしければご覧ください。