ここでは、マンションのエントランスのドアや、店舗や事務所のドア、特にガラスが入ったドアなどでよく使われているフロアヒンジが故障したため、ドアクローザーに取り替えると言う作業をご紹介いたします。
一般的にフロアヒンジの取替は、工事に高額な費用が掛かる事が多く、また場合によっては、床のコンクリートを削った後コンクリートを埋め戻す作業が必要なため、工事期間自体も1日~2日ほど掛かってしまう事もあります。
工事の費用も然ることながら、特に店舗などの場合、一日店を休むと、損失が多く出てしまいます。
その為、フロアヒンジを新しい物に交換するよりも、価格も低く、また工事時間も営業前の2時間ほどで作業が完了するドアクローザーに取り替えた方が良い場合があります。
もちろん、構造上ドアクローザーが取り付けれない事もありますし、ドアの重量や使用状況によってはドアクローザーよりは、フロアヒンジを新しい物に取り替えた方が良い場合もあります。
今回の依頼は、フロアヒンジからドアクローザーに替えて欲しいと言う、福岡市内にある飲食店様からのご依頼でした。
何でも以前、フロアヒンジが故障したので、別の業者から、ドアクローザーを取り付けてもらったそうですが、2~3ヶ月で必ず取り付けネジが、負荷に耐え切れず折れてしまうそうです。
長いビスを使ったりしても、一向に改善されず、最終的にはドアクローザーそのものも故障してしまったようです。
そこで、ドアクローザーの取替ではなく、フロアヒンジそのものの取り替えをしようと思い、ドア屋さんに見積もりを取ったそうですが、今付いているフロアヒンジが廃盤品であるため、現行のものに取り替えする為には、一旦床のコンクリートを削って、古いフロアヒンジを取り出したあと、新しい物を入れ込み、コンクリートで埋め戻さねばならない為、費用が10万円ちょっと掛かると言われたそうです。
その費用も然ることながら、工事に丸一日の時間を要するため、先にご紹介をしたように、一日店を休業にすることによる損失が計り知れず、フロアヒンジの取替は出来れば避けたいとの事でした。
そこで、フロアヒンジではなく、以前業者にしてもらったように、ドアクローザーを取り替えて欲しいとドア屋さんに伝えたところ、もともとその業者さんによって取り付けられたこのドアクローザーが、本来想定されていない動きを強いられている。
そのため、同じものに取り替えても、今までと同じく2~3ヶ月でネジが折れたりして、最終的には同じように本体が壊れたりするので、ドアクローザーの取替は無理です。
と言われたとの事でした。
そこで、もしかしたら、鍵屋さんなら、ドアクローザーを上手く取り付けてくれないだろうかと思い、藁にもすがる思いで(?)カギの救助隊福岡に依頼のお電話を下さったようでした。
現場に行って確認すると、確かに、ドアクローザーが本来するような動き以外の動きを強制されておりました。
これでは確かにすぐに壊れるはずです。
このお店の店長さんがおっしゃられるには、取り付けた当初から、ドアが閉まるときに、ガキガキとドアクローザーから異音がしていたとの事でした。
取り付けネジが頻繁に折れるので、毎回折れたネジを取り出し、新しいネジを入れ直すのが苦痛だと言う事でした。
本来、ドアクローザーと言うのは、ドア丁番によって開閉する、一般的なドアに使用することを想定して、製造されています。
その為、取付図で指示されている通りの位置に穴を開けて、説明書通りに取り付けすると、今回のように、ドアクローザーが無理な動作を強要される形になり、故障します。
そこで、フロアヒンジによって動作するドアの場合は、ドアの動きをよく見て、ドアクローザーが無理なくスムーズに動作する位置を計算せねばなりません。
その計算をもとに、ビスの取り付け穴を開けて行きます。
少し見づらいですが、たくさん開いているビス穴のうち、下側の四つが今回開けたビス穴です。
先の写真ではわかりづらいと思いますので、ビス穴の取り付け位置を説明するために、色を付けて示したのがこの写真です。
赤い丸のあるところのビス穴が、前の業者さんが開けたビス穴
緑の丸のあるところのビス穴が、今回開けたビス穴
青の丸のあるところのビス穴は、前の業者さんが間違って開けてしまったビス穴のようです
おそらく前取り付けた方は、説明書通りに取り付けをしたのだ思いますが、このように、適正な取り付け位置が、実は全然違うことが、写真からお分かりいただけますでしょうか。
ドアクローザーの位置が適正である必要があることは大前提ですが、もう一つ大切な事があります。
それは、ドアクローザーのサイズの選定です。
一口にドアと言っても、もちろんですが、重さがそれぞれ違います。
重量のあるものから軽量なものまで様々です。
そのドア一つ一つに合わせて、選定する必要があります。
重量の重い扉に、軽量扉向けのドアクローザーを取り付けてしますと、重さに耐え切れず、すぐに壊れてしまします。
反対に、軽量扉に、重量扉向けのドアクローザーを取り付けてしますと、油圧が高すぎて、ドアの開閉が重くなり、力が必要になります。
上の写真が、今まで付いていたドアクローザー(写真上)と、新しく取り付けるドアクローザー(写真下)です。
(今まで取り付いていた方のドアクローザーの方は、茶色のプラスチックカバーを外したあとの本体の写真です)
もともと付いていたものは、実は、間仕切り(寝室やリビングなどのドア)などに使われる木製軽量扉用でした。
そこで今回は、ドアの重さに合わせて、数サイズ大きなドアクローザーを選定いたしました。
こうして、様々な工程を経て、無事にドアクローザーを取り付ける事が出来ました。
(計算が間違っているとスムーズに閉まらないので、取り付け後初めてドアを閉めるときは緊張します)
もちろん、以前のように開閉の際に、ガキガキと異音がする事もありません。
実は、ドアクローザーのアームの角度も重要なのです。
私は毎日、鍵交換などでたくさんのドアクローザーを見て、調整をして来ているのですが、今までの経験上ほとんどの所で、適正な角度ではない状態で取り付けられていると感じます。
ただ、この角度については、多少のズレがあっても、問題は起こりません。
とは言え、私たちカギの救助隊福岡では、この角度にもこだわって、必ず適正な位置で取り付けをいたします。
このように、今回はフロアヒンジからドアクローザーへ上手く変更が出来ましたが、変更ができない場合や、技術的には可能だけど変更しないほうが良い場合などもございます。
具体的には、現在取り付けられているフロアヒンジが、中心吊り一方開きと言うものは、概ねドアクローザーに変更可能ですが、中心吊り両側開き(内側にも外側にも開くドア)や持出吊り一方開きと言うタイプのものは、変更が出来ません。
他にも、枠の方にアームを入れるスペースがなかったり、ドアクローザー本体を付けると、本体が壁に接触する場合ももちろん取り付けが出来ません。
また、フロアヒンジは床下に埋まっていて、目立たないですが、ドアクローザーは、ドア上部にボコッと付くので、外観が大きく変わることも忘れてはならないポイントでしょう。
さて、今回の作業ですが、金額的には部品代や工事費込の総額で23500円(税抜き)でした。
ドアの重さによって大きく変動しますが、そこまで重くないドアの場合、金額の目安としては20000円~25000円(税抜き)で考えて頂いて良いかと思います。
当社では対応が出来ない場合もございますので、フロアヒンジが故障したので、ドアクローザーへ取り替えたいとお考えのお客様は、まずは気軽にご相談下さい。